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【消化器系]SSLとSSA/P

消化器内科、とくに大腸内視鏡をされている先生方は、比較的新しい疾患概念であるSSA/P(Sessile serrated adenoma/polyp)、日本語では無茎性鋸歯状腺腫/ポリープのことはよくご存じかと思います。このSSA/P、その名の通り、adenomaつまり腫瘍なのか、それとも腫瘍ではないポリープなのか、はっきり決まっていません。ですので、adenomaまたはpolypという名称がついているんですよね。なのですが、その後発刊されたWHO分類では、A/Pではなく、単にlesion (病変)に名称変更がされています。ですので、全体としてはSSL (Sessile serrated lesion: 無茎性鋸歯状病変)となっています。

 

現在使われている「大腸癌取扱い規約」では、このWHO分類の名称がまだ採用されていないため、当院の病理診断では、癌取扱い規約の名称である、SSA/Pを用いています。ただし、先生方の中には、依頼書の内視鏡診断に「SSL」と記載されている方が既にいらっしゃいます。その依頼の報告に際しては、「SSL」の報告をさせていただいております。

 

さて、この鋸歯状病変、腫瘍なのでしょうか?それとも過形成性ポリープのような反応性病変なのでしょうか? SSA/Pを毎日のように見ていますと、異型が全くないものから、通常の腺腫あるいはそれ以上に異型があるもの、結構バリエーションがあるように思います。今後はこういった特徴から、さらに細分化され整理されていくのかもしれませんね。

2021年10月29日

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